新しいウォーゲームの姿


まだはっきりと見えていないのですが、このままだとヒストリカルウォーゲームというジャンルは滅亡するのは間違いないでしょう。
別に過激なことは言ってはいません。少なくとも他のアナログゲームに比べて先に滅亡するのではないかと思います。
現在のアナログゲームには「ボードゲーム」「TRPG」「ウォーゲーム」の3つの流れがあるというのはご存知ではないかと思います。

どの世界にも、古典的なものやシステムを追及するあまりにそれが当然となってしまい、結果として初見さんの入れない世界を構築してしまっている人達がいます。私は、これを原理主義者と呼んでいます。

ウォーゲームにも「旧AHやSPIのゲームが一番」と思っている人がいるのは当然として(これはこの趣味の年齢層の高さが原因なのですが・・・)、TRPGにも変な原理主義的な人がいて「女神転生シリーズ」などは、ぶっちゃけ初見ではプレイ不可能です(可能と思っている人間はいますが・・・)。女神転生シリーズの悪いところは、本編(コンシューマ)の進化にあわせてシステムが追加され、それを記憶する必要があることです。しかも悪いことに現段階で取得可能な一般スキルまで新しいサプリメントに収めているために、キャラクターを作るのに基本ルール+サプリメント数冊が必要になるという恐ろしいシリーズです。これが果たしてまともか?・・・と問われれば「常軌を逸してる」と答えざる得ません。
しかし、TRPGにはソードワールドなどの逃げ道は存在していますし、「ルールブックさえあれば、キャラクターシートをコピーするだけでOK」というお手軽さがあります。TRPGには「ロールプレイ」というなりきり要素があるので、プレイヤーはそれなりのノリとスキルを必要としますが、これもゲームを仕切るゲームマスターによってある程度カバーすることができます。このアナログゲーム界において、ある一定数以上のユーザーの支持と若い参入者があるのはそのせいだと思います。

ボードゲームも「1830シリーズ」のようなものを好まれる人がいます。そして原理主義者的な人はゲームから運の要素を出来る限り排除したゲームを好む傾向にあると思います。
そんなゲームばかりを初見さんにやらせれば絶対勝てないわけで、それでも彼らのおすすめゲームは運の要素のないゲームに傾倒しています。
しかし、ボードゲームは、他のジャンルに比べて圧倒的に有利な特性を持っています。それがルールの単純さです。インストは5〜10分もあれば理解でき、ゲーム内容も直感的な思考に頼ることがおおく初見さんでも一手を考えられ、しかもゲーム時間は比較的短く、1日数ゲーム以上遊べるというイニシアチブを持っています。しかも、名作と言われるカタンあたりであれば運の要素もあり、初心者でも勝てる可能性が残されていることは大きいと思います。

では、ウォーゲームはどうでしょう?
ヒストリカルウォーゲームでいえば、歴史的な知識があったほうが面白くなる要素がありますが、定例会に行ってみても軽いゲームよりも数時間かかる重いゲームが好まれている傾向にあります。ASLは、ルールさえ覚えてしまえば数多くのシナリオをチョイスし遊べる利点はあります。しかし、戦術級ゲームであるASLシリーズは、初心者には重過ぎ、まずプレイは不可能です。CMJの最新号は"WHITE DEATH"でしたが、当然これも初心者はプレイ不可能です。
私としては、まったくアナログゲームに触れたことのない人間がウォーゲームができるか考えると、それは不可能に近いと考えます。また、AHやSPIなどの旧作をプレイして喜ぶ初心者がどこにいるのか?・・・と思います(もしいるのであれば紹介して欲しいものです)。
クラシックゲームでも"WAR AT SEA(AH)"のような、直感的なエリア制戦略ゲーム(しかも1ターンのシークエンスが少ない)ものは初心者でもOKだと思いますが、ソロモンキャンペーン(SPI)なんか無理ですよ。無理無理w
これからは、ボードゲーマーが理解して楽しめるウォーゲームが必要とされていると思います。私が体験して思うのは「直感的な思考でユニット動かせるゲーム」「ゲーム時間2時間前後」というのが、新しいウォーゲームのあるべき姿ではないかと思っています。
今、この条件を満たせるゲームをシリーズ化しているのは「ウォーゲーム日本史」しかありません。これから7月のSLG-CON(初心者向けSLG体験会)の準備を向けて、様々な議論を重ねていくと思いますが、やはり、定例会においても初見さんでも大丈夫なゲームを準備してくれると助かるでしょうし、原理主義的な思考はこの際捨てなければ「ホビーの滅亡」を意識しなければならないと思います。