サバイバルゲームにおける組織の優位性

Twitterで"タクティカルトレーニング"はサバイバルゲームのガチゲームにおいて役に立たないというツイートをしましたので、その話題を話をしてみたいと思います。
"タクティカルトレーニング"は一種の戦術訓練の域を出ないと考えます(実際にやっているのは前面の敵対勢力の制圧、さらに進撃の戦術的訓練)。つまり、数人〜10人程度の小戦力における戦術トレーニングと位置づけられます。ただし、このタクティカルトレーニングにおいて、指揮官の位置づけやその指揮下に置かれるであろう兵士の概念までレクチャーはされません(自衛隊においては、指揮系統の徹底という意味で入隊過程から戦闘訓練ではなく教練という形で叩き込まれます)。いくら戦術訓練を行っていたとしてもそれは個別戦闘の手法であり、しっかりとその戦闘単位においてリーダーを決めておかなければ、タクティカルトレーニングで訓練した項目を活用することは不可能です。
さらにタクティカルトレーニングでは攻勢を主眼としたトレーニングであるにもかかわらず攻勢による戦力減衰は考慮に入っていません。この時点において、縦深戦術を取られた防御戦力に対応できないので、サバイバルゲームでは役に立ちませんが、もうひとつ決定的な欠点を抱えています。
それは、実際の戦闘になった場合、戦術訓練の域をでていないため、戦術規模での成功しか望めないことです。これはウォーゲームの概念を取り入れて説明しましょう。
ウォーゲームにおいてマップは戦場の広さを表しています。そして与えられた戦力を投入して戦うとわかるのですが、必ず複数の場所で戦線が構築され、それをどう突破するかが鍵になってきます。しかし、戦術訓練の域を出ないタクティカルトレーニングはあくまで一部の戦線において戦術的な成功しか望めません。仮にそういった人が戦術的成功を収めたとしても、それをもって戦場で勝利したとは言えません。
もうここまで説明すればわかると思いますが、作戦レベルでの成功は戦術レベルの成功に勝ります・・・ということです。
ここでいう作戦レベルの成功に必要になってくるのが、チーム全体での指揮系統とそれに盲目的に付き従う兵士です。このような指揮系統を組織するとすれば、作戦と戦況を把握する司令部機能をもった上位組織と実際に戦線を形成する複数の下位組織で構成されます(経験上、サバイバルゲームにおいては、下位組織は右翼・中央・左翼の3部隊、司令部組織(以下「指揮所」)の4つ程度で対応できると思います)。下位組織は、戦況を指揮所へ伝達し、指揮所は集められた情報を即座に分析し、必要な命令(停止、後退や他戦線への圧迫など)を行います。ここまで組織し、指揮系統という概念を徹底すれば素人も兵士として機能します。
この優位性を簡単に説明してみましょう。戦術レベルで片翼を突破されそうになった状況が発生したとします。この情報は即座に司令部へ伝達され、予備戦力として拘置されていた司令部要員の一部が危ない戦線へと投入されます。さらに他の戦線において余力がある場合、状況に応じて側面からの攻撃・包囲殲滅や圧迫が下位組織に伝達され、忠実に実行されます。このように全体が組織というひとつの生命のように動くことで、戦術的な成功は挫かれることとなります。
・・・とまあ、これは理想的な作戦レベルでの機動ではありますが、少なくとも全体が組織として機能するチームは、タクティカル訓練で訓練された少数の精鋭で構成されていても、全体の組織化が未完全ではその能力を発揮することはできないのです。

P.S.ぶっちゃけ言うと、いくらタクティカル訓練を受けたゲーマーでも、牽制射撃という一般的な防御線術を行わず、ただ自然と一体化して潜伏し、やり過ごすような嫌なプレイヤー1人いるだけで大混乱しちゃうんでしょうけどね(タクティカル訓練の基礎は「平面で押し切って自分の通ったところは全部クリアにしちゃおう」なんで、1人でも見落とすと戦術体系全体が崩壊しちゃうんですよ。しかもスタンディングが基本なんで、タクティコーな人達はめちゃくちゃ遠くから視認できるんで早くから潜伏できますし)